①では筆者の愛するジェフ千葉がJ2で哲学もへったくれもなく、ただ焦ってカネにモノをいわせた補強で昇格失敗している姿を紹介したが、そんなクラブは他にもある。

お隣東京都の東京ヴェルディもそうだ。このチームの元看板選手で監督も務めた柱谷哲二がヴェルディの伝統とは何か?という取材で「勝つこと。それだけが(ヴェルディの)伝統だ」と答えた。

…ところが…

その柱谷が監督をしていた2008年のJ1で勝利に見放されたヴェルディは川崎に放出した後のブラジル代表の絶対的FWフッキを呼び戻し、フッキのワンマンチームで残留を狙ったがあえなく最終節でJ2降格となった。

筆者はこのブログで「『絶対的ストライカー(王様FW)』と10人の小人たちではJ1に定着するチームは無理だ」と言っていたが、ヴェルディはそんな哲学も何もないチーム編成で低迷していった。

一方で、ここ何年かのJ1昇格プレーオフを見ていると、あることに気付いた。

J2の中でも弱者だった大分トリニータや徳島ヴォルティス・モンテディオ山形の様なチームがJ1昇格を果たした。

結論から先に言うとこれらのチームは1年でJ2にエレベーターだったが、それでもこれらのクラブがたった1年でもJ1に上がれたのは、彼ら自身の「哲学」があったからである。

「自分たちのサッカーはこれしかない。このサッカーで負けたなら仕方がない」という弱者特有の選択肢の少なさもあっただろうが、その分迷いなく判断も速くなり、自分たちのサッカーを決断出来たのが、たった1年であってもJ1昇格に成功出来たのだ。

こうしたチームの「自分たちにはこれしかない」というある種の開き直りが、弱者の兵法ではないが、彼らのサッカー哲学として昇華したのである。

翻ってジェフはただスポンサーのカネにモノをいわせた補強で昇格すればいい、と考えて上記のチームの様な1年限定の「なんちゃってJ1昇格」すら出来ていないのだ。

今シーズンもジェフは昇格できていないだろうが、正直2017年以降は1年でのJ1昇格よりも、ジェフは「どうやって」勝ち上がるかという哲学を構築するシーズンにしてもらいたい。

単なるプロセス無視のJ1昇格・原理主義はもういらない。