①ではパッキャオのサクセスストーリーとそれが今のサッカー界に必要なことだということを述べたが、②ではその理由を述べたい。
①にもあるが、パッキャオの試合はボクシングファンにとってメチャクチャ面白い。パッキャオ自身も好きなバスケットで言うと、ラン&ガンに近い超攻撃的なスタイルを標榜としている。
ただ一方で、ラン&ガンも同じだろうがパッキャオのスタイルは実は安定感がない。だからパッキャオも毎回勝っていた訳でもなく、メイウェザーにも負けたし他の選手にも負けや引き分けもあった。
しかし、ここで言いたいのはパッキャオが世界中で人気があったのは、彼が常に結果を残し続けたからではなく、彼が常に最高に面白い試合を演出してファンを魅了し続けたからに他ならない。
「グラ(ウンドに)ゼニ(が埋まっている)」というプロ野球漫画があるが、パッキャオの場合、まさに勝敗を別にしても世界中の観客を熱狂させる試合によって、リングに埋められた大金を掘り起こした。
また昔、みうらじゅんが座右の銘で「面白かったらいいじゃん」と言ったが、パッキャオの場合は生死を争うリングでも「面白かったら(負けても)いいじゃん」という世界である。
しかし、Jリーグを中心とした日本のサッカー界ではそれが通用しない。サッカー界で必要なのはつまらない凡戦でも結果。結果さえ残ればどんだけつまらなくてもそれでOKという世界である。
しかし、本当にそうした結果至上主義でいいのか?という話だ。同じボクシングでもプロの歴史が長い後楽園ホールの興行はつまらない試合でも結果にこだわるから、ファンにソッポを向かれて閑古鳥。実際に世界戦での地上波のテレビ視聴率もキー局でその時間帯の最下位というのも珍しくない。実際にこのブログを読んでいる読者もボクシングの日本王者の名前は知らない人がほとんどだろう。
よく「今のボクシング界は古典芸能より狭くてマイナーな世界」と言われるが、そうなった原因は面白い試合での敗北より、あくびの出るような試合での勝利に執着したからだ。
Jリーグを中心としたサッカー界は人気のあるところもあるのでまだ間に合う。下部リーグに降格したら地獄の底のように苦しくて悲しいではなく、どのカテゴリーでも負けても面白かったらOKという新たな価値観を構築してもらいたい。このままだとボクシング界のように頂点獲っても無名で貧乏な存在に成り下がる。