冒頭のタイトルを見て「独眼鉄がまた訳のわからないことをのたまっている」と思うかもしれないがとりあえずご静聴願いたい。

以前、理想のサッカークラブは昔のダメ虎時代の阪神タイガースみたいなチームと言ったことがあったが、今回は別の角度から切り込んでいきたい。

マニー・パッキャオ。言わずと知れたフィリピンの英雄で、2015年の春にフロイド・メイウェザーと100億円マッチをやったあの髭ヅラの男だ。

以前、このブログでパッキャオのわらしべ長者のようなサクセスストーリーを書いたが、パッキャオのファイトを取り巻く環境というのが、実は今のサッカー界にとって理想に近い部分もある。

パッキャオというボクサーは長いことアジア人初の3階級制覇という肩書きが付けられなかった。

というのもWBCフライ級→IBFスーパーバンタム級と3つ目の世界タイトルの間に「インターナショナルタイトル」という一般人にはよくわからないタイトルの防衛戦を繰り返していた。

このタイトルは分かり易く言うと「2軍王者」のようなモノで、MLBのピラミッドで言えばAAA、日本のNPBで言えば2軍のフレッシュオールスターのような感じで、トップ選手の予備軍であり、若手の登竜門のようなタイトルだ。

しかし、パッキャオはそんな2軍のタイトルマッチで北米ボクシングの本場のメキシコ人包囲網を向こうに回して、強烈な打撃戦でそのタイトルの防衛戦を繰り返した。

パッキャオの試合は2軍扱いでも面白い。試合主催者なども1軍のメジャータイトルを挑戦させるより2軍のタイトルの方が承認料など経費も安い、と言って世界戦をせずにずっとメキシコ人相手の2軍で試合ばかりしていた。

でも、パッキャオの超攻撃的ボクシングは2軍でも下手な1軍(世界戦)の試合より面白い。そしてパッキャオ自身が負けてもテレビ視聴率もチケット収入も儲かるから、結果に関わらず次の試合のオファーは引っ張りだこ。パッキャオは2軍扱いでも人気&収入もうなぎ登り。野球で言えば「2軍の5億円プレーヤー」のようなモノだ。最終的にパッキャオは世界タイトル6階級を獲ったが、キャリアのピークは実は2軍王者の頃だった。

翻って日本のサッカーである。サッカーに限らず日本のスポーツ界は結果至上主義が蔓延している。しかし今の日本のサッカー界に必要なのはパッキャオみたいな状況なのでないか?〈②に続く〉