①では信州(長野県)のサッカー界が松本市と長野市という狭くて濃い地域間対立を生かして、未開の地でのプロスポーツ文化の構築に成功したという話をしたが、②では東京など大都市圏でのスポーツ文化の構築についても考えていきたい。
筆者は「錦糸町(東京都墨田区・江東区界隈)」の独眼鉄としてブログを書いているが、地方都市に住んでいる読者には分からないかもしれないが、東京都という行政単位は「自治体」ではなくもはや「国」レベルである。
人口1362万人というのはオランダの人口(1700万人・2016年)に匹敵する規模で、東京都の予算がノルウェーの国家予算に匹敵するというのは、都知事選挙の度に言われている決まり文句だ。要は東京都という地域は欧州の中堅国家並みの行政規模なのであり、下手をすればサッカーの東京都選抜だけでアジアを勝ち抜けるチームが可能なくらい東京都というのはある意味「国家」なのである。
そうした国家に①の松本市(24万人)や長野市(38万人)といったおらが町のようなアイデンティティーを持て、という方が無理である。
プロ野球の巨人やヤクルトならいざ知らず、東京で中小のプロスポーツチームがアイデンティティーを構築するならヴェルディ「調布」にしたり、Bリーグでもアルバルク「代々木」にしたり、「板橋」エクセレンスにするべきである(サンロッカーズ「渋谷」という名前を選択したのは良かった)。
そうした「狭く」て「濃い」行政単位でのプロスポーツチームを構築して、地域間対立の構造を利用しつつ、スポーツ観戦する文化を築いていかないといけない。
日本という国で新たなプロスポーツの観戦文化を作りたいなら、狭さと濃さを生かした地域密着のプロセスは必要条件である。