①ではサッカーエリートのシステムとそうした世界をざっくりと紹介したが、②では彼らが引っかかる罠に見ていきたい。
子供の頃からサッカーエリートで、そもそも子供の時点から日の丸とサムライブルーを背負った選手。当然「これからの代表は俺の時代だっ!」と思ってしまう。しかし、そんな彼らに罠がある。
それは「A代表(いわゆる日本代表)に世代別代表に選出された選手はほとんどいない」ということだ。厳密には選ばれてはいるが、高校ではまだ代表ユニ童貞だったということだ。
岡崎慎司はU-23で代表選出で香川真司もU-19で初選出。本田圭佑もガンバのユースから漏れて石川県の星稜高校に越境入学したのは知られた話だし、長友佑都も東福岡高校入学時は一般入試だった。
逆に以前韓国の世代別代表に小学生時代から選ばれていたナム・スンウという選手が筆者の愛するJ2ジェフ千葉に入団したが、足下の技術はピカイチだったもののメンタルが弱く戦力外になった。こんな選手も世界中にいくらでもいる。
野球でも神奈川県大会ベスト8止まりだった元中日の山本昌がドラフト5位指名された時に「(横浜高校で甲子園制覇した時のエースだった)愛甲猛さん(元ロッテ)でさえプロでは投手として通用せず打者転向したのに、俺(山本昌)がプロで通用するのか?」とプロ入りの時に周囲に聞いたが、しかし彼は50歳までプロ野球の投手としてプレーした。
サッカーでも野球でもそうだが、子供の頃からのエリートが後のスターになるとは限らない。周囲の大人もそうした現実を知っておくことも重要なのである。