今回五輪について色々書いているが、種目によって、選手達の目標の違いが興味深かった。

今大会、日本柔道は金メダルも多く成功と言えば成功だったが、相変わらず全柔連や日本のマスコミは柔道の場合、金メダル以外はビリと一緒、というゼロサム的な価値観から脱却しようとしなかった。

一方で卓球では団体女子はメダルが取れて喜んでいたが、一方の男子は決勝の絶対王朝である中国に敗れて、選手がみな本気で中国に勝とうとして、悔しがった姿が印象的だった。日本卓球界は本気で中国から王座奪還を目指しているという姿勢が分かった。

それと今大会驚いたのは陸上男子400mリレー。日本は10秒台を切るランナーがいないのにバトンリレーの部分の徹底的な強化が功を奏して、銀メダルを獲得した。やる前から「黒人には陸上では勝てない」ではなく、自分達のやれるベストを尽くし、世界を相手に度肝を抜かせた日本陸上のリレーチームは素晴らしい。

あと今大会目立ったのは競歩やカヌー競技と言ったマイナー競技の躍進である。カヌーの羽根田卓也選手は18歳で単身スロバキアに渡り、武者修行で腕を磨いた豪の者である。こうした選手の活躍が今までマイナーだった競技に一気に光が差し込むのである。

こうして見て思ったのは、どんな競技でどんな立場の人でも競技に懸ける情熱や思いは同じである。マスコミもメダルの色ばかり見ていないで、アスリートが五輪に懸けるヒューマンドラマをもっと紹介して欲しい。

色々あったリオ五輪であったが(これからパラリンピックもあるが)、結果も大事だが、個人的には五輪と肉体派エリートが集う大会で、自分の思いをカラッカラになるまで出し尽くして完全燃焼してもらいたい。それができていれば筆者は五輪について後は何も言うことはない。