今回の冒頭のタイトル、別に亀田興毅が実際に煙草を吸った話をしている訳ではない(上2人は既に引退しているので吸っても構わないが)。今回の論点はそこではない。このテーマの意味を掘り下げていきたい。
ボクシングを20年見てきた筆者にとって、2006年頃の日本中の注文を集めた兄弟ボクサーから、一転して日本スポーツ史上(ボクシング以外の競技含めた)最凶のヒールになった姿が、現代の喫煙環境にダブッて見える。
どこらへんがそうなのか?という話だが、亀田一家というのは前述の通り、2005年頃のボクシングが廃っていた時代に、家族の絆が崩壊した現代の日本社会で、父親と息子たちが一丸となって、世界チャンピオンという目標とする姿が、今思うと怖いくらい異常な熱狂を帯びたブームを引き起こした。
しかし、亀田一家の〝やんちゃな〟言動を視聴率亡者のテレビ局の餌になって、必要以上に彼らを悪役にして、持ち上げるだけ持ち上げて、ランダエダ戦での不調で今度は責任を亀田一家に押し付け一斉に手の平を返したバッシングに終始した。
その後の亀田一家は何をやっても嫌われた。2011年の東日本大震災の時も他のチャンピオンが救援物資を送ると賞賛したのに、亀田家が阪神淡路の経験から大量のガソリンを2度も東北に贈っても、メディアやネットは彼らをガン無視した。
試合に勝っても「消極的なドカウンターでつまらない」と評されて、負けたら負けたで鬼の首を取ったように血祭りに扱われる。
あまつさえ、日本のボクサーのファイトマネーの相場は亀田家が決めた訳でもないのに、なぜか日本のボクシングビジネスの破綻の責任まで、亀田家に押し付けられていった。
断っておくが、筆者は別に亀田ファンではない。彼らの良くない良くない言動に眉をひそめたこともあった。
しかし、それはそれでこれはこれである。筆者が今の日本ボクシング界に嫌気がさして、ボクシングを見なくなったのは、ボクシング界の問題をドサクサ紛れにコトの全てを全部亀田家になすりつけているところにある。
そこで今回の冒頭のタイトル「亀田一家と煙草」である。少し前のメディアが特定の人間を持ち上げて、しくじったらその人に責任をなすりつけていくのと、今の不健康な体調は皆煙草が悪いという論調も、どうも同じに見えて仕方ないのだ〈②に続く〉