①では協会トップが強化のビジョンを示して競技力向上に繋げるメソッドを紹介したが、②ではそれが出来ない失敗例を挙げていきたい。
個人的にその失敗例に挙がる最右翼のスポーツというのがバスケットとアイスホッケーにあるように見える。
特にアイスホッケーは1990年代はそこそこ人気があったスポーツだったが、21世紀に入り2006年のトリノ五輪での荒川静香の金メダルから、同じスケート競技でもフィギュアスケートに人気で大きく水をあけられた。
それはそれとしてバスケットを見ていきたい。バスケットはこの夏のリオ五輪が終わったあとの9月に統一プロバスケットリーグ「Bリーグ」がスタートする。
しかしそれまでのバスケットは実業団リーグのNBLと独立リーグのbjリーグとの2リーグ並立の時代が10年以上続き、競技力は向上どころかむしろ瀕死の状態だった。
もともとbjリーグができたのも中国・韓国の2強にあるアジアバスケット界を打破して五輪出場を果たすためには、プロ化が不可欠と考えた一部関係者が協会トップと話し合いを重ねるも平行線を辿り、最終的にそうしたグループが分離独立してできたリーグとしての経緯がある。
bjリーグも独立リーグなので選手・審判の競技レベルの問題もあったが、バスケット界の低迷の1番の理由は協会トップが競技レベルのUPよりぬるま湯に浸って保身に走っていった部分にある。
だから最終的に当時のバスケット界トップはFIBAから実質的な更迭に近い形で表舞台から消えたのだ。
アイスホッケーも同じだ。一時期協会人事で揉めたという話があったが、国内のプロリーグの拡大のための具体的な方策がなく、有力チームの廃部に何の手も打たずにチーム数を減らし、リーグが無理矢理アジアリーグにしたという経緯がある。
協会トップという存在は社内人事の派閥争いで泳いでいくだけの世渡り上手では、海外の海千山千の寝業師とは到底闘っていけず、競技レベルの失墜を招き最終的にJOCの突き上げと国内関係者やネット上のバッシングを受けて辞職を余儀なくされるだけである。
そんな無能なトップが退席するのは自業自得だが、最大の被害者はそのスポーツの競技者だ。
協会トップという人間は①で述べたように聡明なビジョンの下での強化プランを設計して、高いレベルの組織のコントロールができる人材でないといけない。派閥の人事だけでは今の時代は淘汰されていくだけである。