①では五輪選手の本番での緊張との向き合い方を見てきたが、②でも他の世界から緊張に対する対処法を見ていきたい。

以前読んだ漫画で、スポーツではないが「絢爛たるグランドセーヌ」というバレエ漫画で、バレエの発表会の前に緊張しているバレリーナの前に母親が、

「緊張するということは悪いことではないの。緊張するということは自分が(踊りに対して)真剣に向き合っていいバレエを見せようとしていてもことだから」というシーンがあった。

日本人というのはとかく真面目だから「緊張=高いパフォーマンスを出すのを邪魔する余計なモノ」という考えがあるが、スポーツに限らず高いレベルで闘っている人ほど、緊張をむしろ必要としている。

これに似た考え方に昨年まで巨人軍の2軍監督だった岡崎郁氏が「緊張するのは当然。緊張は悪い意味で使われるけど、緊張状態だと自分の力以上のことができる」

「普段の生活で緊張することはないですよね。それだけ緊張というのは動物として研ぎ澄まされた状態だと思います」

「(中略)イチロー君も今でも緊張しているだろうし、松井も最後まで緊張していた。だから最初だけ緊張していて、すぐ緊張しなくなる選手はダメな選手だと思う」

と、要約するとこんなことを言っていた。

色々な世界のトップの話を聞いて思ったが緊張というモノは「良薬は口に苦し」ではないが、受け入れるには苦労するが無ければ無いで困るモノなのだ。

参考文献  隣のアイツは年俸1億  巨人2軍のリアル  中溝康隆(プロ野球死亡遊戯)
白泉社  2016年