①では元Jリーガーの再就職番組について色々紹介してきた訳だが、②では漫画作品などを見ながら元プロスポーツ選手の現役引退後のセカンドキャリアについて見ていきたい。

①で2つの漫画と述べた訳だが、そのうちの1つが今年(2016年)夏に映画化された、筆者が敬愛する漫画原作者である綱本将也のデビュー作品「Uー31」で、戦力外になった元日本代表の主人公・河野敦彦が移籍した後、古巣で日本代表時代の先輩にあたる選手や昔の仲間と飲みにいくシーンがあった。

その元代表の先輩が昔の仲間にいた引退して解説者になった人との話を聞いて、飄々(ひょうひょう)とした表情で引退を決意してしまうシーンがあった。

河野は飲み会の後に、その先輩を現役に引き留めようと説得するも、先輩はそれまでのあっさりした態度から一転して号泣し、クラブの若手にポジションを取られ控えに回っても悔しさが湧かない自分にショックを受け、そんな自分を許しもう既に闘う気力を失ってしまった自分がいることを河野に晒け(さらけ)出す姿があった。

そしてその後、先輩は引退発表をし、前述の仲間だった解説者の口利きで自分も新しく解説者になったと言う話だった。

もう1つの作品はサッカーではなくて野球なのだが、前にも紹介したが三田紀房の「スカウト誠四郎」という漫画で、主人公の武光誠四郎は入団した時には嘱望された選手だったが、プロの猛練習による度重なる怪我が原因で一軍に定着できず、結局戦力外になったところから話が始まる。

その後武光は建材会社に就職するも、現役時代に乗っていたベンツで営業回りをして上司に大目玉を喰って、武光自身「引退後の生活はプロ以上に厳しい」と世間の厳しさを痛感するという話があった。

その後武光は球団からスカウトとして採用したいという申し出があった。しかし仕事が嫌で野球に逃げ込もうとする自分自身の弱い心に、武光は自己嫌悪に陥る。

しかし最終的に武光は葛藤の末にスカウトに転職するという話になったが、その後のストーリーはこのブログのテーマとは違うので割愛する。

この2つの漫画を見て思ったのは、どんな優れたアスリートでもいずれは引退するという当たり前の話だった。そしてそんな当たり前のことを受け入れるのに、みんな惨めな姿を晒け出してまで、どれだけのたうち回り苦しむのかいうことである。

しかしそこで重要なポイントなのは引退した時に、自分がそれまでやってきた競技に対して十分悔いなくやってきたか?もう本当にやり残しがないのか?という部分を最後までとことん自分と向き合うところにある。

要はトップアスリートにとって引退する時に重要なのは本質的な自分自身との対話であって、徹底的に嘘がないところまで自分の気持ちを突き詰めて考えることにある。

それができていない選手にいくら周囲がセカンドチャンスを与えても100%上手くいかない。

結局のところ、引退する時に最も重要なのは、(抽象的な表現で申し訳ないが)自分自身と決着をつけられたかどうか?というところなのだ。