①では漫画を通じて、安全地帯から批判することより、危険地帯でモノを創作することの方がよっぽど大変だ、という話をしたが、もちろんそれは漫画のみならず、スポーツチームにも共通したカラクリだ。

漫画家が心血注いで自分の作品を作っても、雑誌アンケートや1巻の単行本の売り上げが悪ければ即打ち切りという現実があるように、サッカーの世界も、一週間かけてたった90分の試合の為の準備を費やし、どれだけスカウティング(偵察)にもエネルギーを注いで、策を練って選手を鼓舞させても、相手がその裏をかいて負ければチームは試合後にブーイングも喰らうし、連敗が続けば監督更迭(クビ)というのが現状だ。どちらも厳しすぎるかもしれないがそれが現実なのだからしょうがない。

またスポーツの世界で働いても、基本的に「つまらない」とされる単純作業ばほとんどだ。

手が震えるほど冬の寒い時期でもゲートで長時間立ってもぎりもしなければならないし、クソ暑い真夏の日中の準備でも、ボランティアスタッフは立て看板を運んだり、スタジアムの掃除など身体がいくつあっても足りないくらい忙しい。

ボランティアスタッフはそんな試合前の苦しい単純作業を追われているので、ホームの試合を見ている暇はない。

またサッカー監督が過酷だという話だが、他のスポーツでも例えばプロ野球なら、試合の成績が良くても監督が不人気で球場に来てくれるファンが少ないと、その監督はクビを切られるという、こちらもサッカーとは違った過酷さがある。

こうして今回は娯楽の世界で糧を得る難しさを見てみたが、サッカー監督が一週間かけて手間のかかる調理(練習やスカウティング)をしたのを、我々サッカーファンはたった90分間で食事(試合観戦)していることを実感しなければならない。