冒頭のタイトルを見て「なんだよそれ⁉︎」と言われそうだが、今回は世界の野球について見ていきたい。
最早どこらへんがスポーツビジネスなのかも筆者はわからないが、それはそれとして冒頭の説明に入る。
今回のタイトルにある「7点リードは危険な点差」というのはイタリア球界における共通認識である。
この言葉は「イタリアでうっかりプロ野球選手になっちゃいました(八木虎造・2007年・小学館)」というシュールなタイトルの本からの引用なのだが、この本の著者である八木氏がイタリアでの充電生活に飽きて、たまたまあった地元のプロ野球球団に年俸5万円(この相場がスポーツビジネス?)で入団し、当地での野球事情を紹介したことを記したのがこの本である。
カルチョ(サッカー)の国であるイタリアにプロ野球球団⁈筆者も驚いたが実際にあるらしい。なぜイタリアに野球ができるのか?というと色々な事情がある。
アメリカ大都市のイタリアン・マフィアが自分の祖国に野球という文化を植え付けるためだとか、MLB(メジャー)が2005年に始まったMLBヨーロッパアカデミーによる野球の普及活動など様々な要因が重なりあい、イタリアでも野球が行われるようになった。
そうした中でイタリア球界というのは当初まともな指導がされてなくて、先発投手が四死球を連発し7イニングを投げて四球が22個(!)と「野球は投手次第」と言われる現代野球において、その投手が試合ブチ壊しをして押し出しを連発していた。
そうした野球事情のため本来ならコールドになる7点差と試合も、イタリアだと相手投手の勝手な自滅から逆転が可能で、実際にコールドの試合でも21-14といういわゆるラグビースコアの試合がしょっちゅうだと言う。
かつて元メジャーリーガーのボブ・ホーマーが日本の野球について「地球の反対側にもう1つのベースボールがある」と言う言葉を残したが、(日本から見て)ユーラシア大陸の向こう側にももう1つの野球が存在している。
そんなイタリア球界も昨年(2015年)までオリックスに在籍していたアレッサンドロ・マエストリ(現・韓国ハンファ)のようにアメリカ2Aから日本の独立リーグ経由でNPB入りし、150km/h超えのストレートと高速スライダー、それにチェンジアップを駆使してローテーション入りする投手を輩出するから、野球というのはわからないモノである。
次回は他の国のシュールな野球事情にもフォーカスしたい。
参考文献 週刊ベースボール 2015年5月11日号