今筆者はスポーツビジネスのブログを脱線しつつも3年以上書いている。そうした筆者のブログをスタート時から読んでいる古参の読者がどれだけいるかは分からないが、今でこそこのブログはスポーツ専門のモノだが、昔はノンジャンルで色々書いていた。
そんな中にあったテーマが「雇用」からスピンオフした「若者の雇用と日本社会の在り方」というテーマである。
筆者自身、このブログがスポーツのブログに特化して、このサイトで雇用ネタを自分で書けなくしてからも、若者の雇用問題というテーマに関しては興味があって、スポーツ本同様に時間を見つけて読んでいた。
そうした中で話は飛ぶがスポーツのブログを書く資料として、一冊の本と出会った。「もうひとつのプロ野球(石原豊一・白水社・2015年)」だ。
この本はスポーツビジネスというジャンルと、若者の価値観や現代日本の若年層雇用の在り方という2つのテーマを共存しながら掘り下げていった興味深い本である。このブログの読者は大なり小なりスポーツビジネスには興味があるだろうから、気になった方は読んで損はない本である。
この本の中で、今の日本の若者が決められた日本社会のレールから外れ、申し訳程度の金額か無給という条件で独立リーガーとして「プロ」野球選手になったことの背景を分析している。
この本を読んで感じたことは、日本社会において(独立リーガー含めた)若年層における大学卒業後の雇用環境が、バブル期には日本企業がハワイで入社説明会(もちろん内定という交通手形で入社はフリーパス状態)をやっていたのが、21世紀の日本は名門大学を卒業しても内定0という就活難民が激増し、一発勝負の就活に失敗すれば行く先は年収200万円の非正規雇用という一生抜け出せない底無し沼まっしぐら、という熱帯魚なら即死状態の極端な雇用環境の変化である。
話を野球に戻すと、石原氏は日本社会での決まった人生設計ルートが消滅し、その流れからこぼれ落ちた男性の若者が行き着く叶わぬ「夢の受け皿」の1つに独立リーグがあると説いた。
こうした劇的な社会環境の変化が若者の雇用や労働に対する価値観を変えてしまったというが、筆者はそこに今の日本社会における重い問題が隠されていると読む。〈②に続く〉