①では全くとっかかりのない国で異文化のスポーツを普及させる難しさを伝えた訳だが、②ではもう少し深く掘り下げていきたい。
①では中国人は野球に全く興味がないという話をしたが、では同じアジア人でも韓国人はどうだという話である。
韓国はWBCを見るまでもなく野球大好きな国である。国内にプロ野球(KBO)もあるし、日本における野球とサッカーの立場が逆転しているのが韓国野球(サッカー)だというが、中国とは違い韓国では野球は「稼げる」スポーツだ。
ではなぜ中国人は野球に興味がなく、韓国人は野球に興味を持ったのか?という話である。
これは完全に結果論だが、歴史的な背景がそこにある。
まだ韓国がサッカーしかなかった頃に、日本のプロ野球で峠を越えた在日コリアンの選手たちが、キャリアの最後を祖国で自分のプレーを見せることもあって韓国に野球を広めたのが韓国野球の始まりと言われる。
当時の韓国はまだ世界なブランディング力もなければIT先進国でもない、アジアの発展途上国で国内に満足な娯楽もない状態だった。
しかし、いわばそんな「娯楽の飢餓状態」が逆に幸いして、まだそれほどレベルの高くなかったKBOも夜の時間を潰したい当時の韓国人労働者の精神的な受け皿になって、韓国人に野球という競技が次第に受け入れられていった。
最初は野球後進国だったKBOもいつしかレベルも向上し、日本やメジャーにも通用する選手も現れ、いつしか野球の母国アメリカで世界一の座を争う最高峰のライバルにまで成長していった。
そうした中で韓国国内では試合の熱狂が消費も伸びて、女性ファンの増加にも繋がっているという。
こうして、今回は韓国のプロ野球を見て熱狂創出のきっかけを見てみたが、世界最高峰のプロ野球リーグというのも最初は細々としたモノであった。
逆に①で述べたインドや中国には既に独自のスポーツ文化が存在する。手付かずのブルーオーシャン市場を開拓するのは今の時代は困難なのだ。