①ではプロ野球の入団テストで合格した選手のことを紹介したが、②では受験者の99%の不合格者について考えてみたい。

野球選手以外の有名人でプロ野球の入団テストを受験したので思い出すのは、電気グルーヴのピエール瀧である。

静岡の公立高校で野球部に所属して最後の大会が終わった後、瀧は阪神の入団テストを受験した。この話は瀧神話として電気ファンには知られた話である。

そんな当時高校を卒業したばかりだった19歳の瀧青年。天下の甲子園球場に集まった時、瀧青年は愕然(がくぜん)とした体験をした。

この入団テストには「阪神」の入団テストだと言うのに「南海(現・ソフトバンク)」のユニフォームを着た40歳ぐらいのおっさんが受験しようとしていた。

他にも草野球チームのユニフォームで、呑んだくれて酒明けで甲子園に来たおっさんもいて、その日の甲子園球場はかなりシュールの人間が集まった集合体と化していた。

そんな中でテスト開始。まず最初のテストは50m走で、合格ラインは6秒5ぐらいだった。

しかし、その南海のユニフォームを着たおっさんは走りだすと「はいっ!9秒5~!帰って~!」と野球のテストなのに「ボールが握れない」まま不合格になった。他にも遠投30mと完全に肩がブッ壊れた受験生など、冷やかしにも程がある受験生も沢山いた、と瀧は言っていた。

瀧の名誉のために補足説明すると、瀧は50m走は合格して、打撃の試験では阪神のバッティングピッチャーが投げる球をゲージでバンバン打って、(試験そのものは不合格だったが)いい思い出ができたという。

しかしプロ野球の入団テストには①の山口鉄也や今回のピエール瀧みたいなまともな受験生だけではなく、一種のモンスターのような受験生も沢山来る。

そんな南海のユニフォームを着たおっさんが、甲子園の土をお土産としてどんどん袋に入れると、グラウンドキーパーの人に「そんなに土を持って帰んじゃねー!」とマジ切れされていた、という。

同じプロ野球入団テストという記事でも①と②では同じ競技とは思えないくらい温度差がある。熱帯魚なら環境の変化についていけずに死んでしまうくらいで温度差だ。

今回はプロ野球入団テストを題材にしたが、同じ入団テストでもここまで差があるのが分かっただけでも儲けものだった。