①ではスポーツ漫画の厳しさを述べてきた訳だが、②でも補足説明したい。

筆者がよく行く錦糸町の某書店の漫画担当の方に「最近売れている少年誌は何?」と訊いたところ、「最近は少年誌に限らず雑誌は全然売れてない。もともと売れないのが、最近はそれに拍車がかかっている。漫画雑誌全体で売れているのはジャンプとコロコロ、あと(小学館の少女漫画雑誌の)Chaoだけです」と漫画雑誌も先細りになっている。

こうした漫画雑誌の先細りは、同様にスポーツ漫画の先細りにも当然なっていく。

今のスポーツ漫画というのが面白い漫画も、こうした漫画の環境の厳しさが理由であっさりと打ち切りになり、漫画文化自体が貧困になっていく。

以前、山田玲司と言う漫画家が「手塚治虫でもヒット率は2割いかなかった。火の鳥やアトムの足下には多くの屍(しかばね)が転がっている」と言っていたが、手塚治虫で2割未満なら一般の漫画家は「千三つ(1000個作って3つ成功)」の世界である。

これは、もちろん一般の漫画だけでなくスポーツ漫画も同様だ。

個人に思うのだが、(打ち切りされた漫画含め)2010年代に入り、「プロ」スポーツ漫画が増えた気がする。

それなら「プロスポーツ専門」の漫画雑誌を創刊して、スポーツビジネスをもっと掘り下げた漫画作品を集めた方が良い。

今の状況だと各雑誌がバラバラだから漫画自体に訴求力が弱くなっていて、3本の矢ではないが「スポーツビジネス」としてまとまれば、新しいスポーツ漫画の文化が花開いていける。

今の時代、スポーツ漫画も貧困になっている。だからこそ新たなマーケット(前述のプロスポーツ漫画雑誌のような)を開拓して潜在的な需要を掘り起こしていく必要がある。