②では前座の試合からボクシングの攻撃の技術論を述べたが、③でも前座試合のレビューを述べたい。

日本ランカーで名門・三迫ジムのアマチュアエリートの永田大士が大橋ジムの中堅遠藤健太郎と対戦した。

永田はアマエリートから無敗の日本ランカー(13位・5勝3KO1分)。期待して見ていた。

…ところが…

永田はアマで何をやっていたのか?と思うくらい無策で何も出来てなかった。こっちも4000円のチケット代を払ってわざわざ会場に足を運んでまでの観戦なので、それなりのモノを期待していた。

しかし、ガチャガチャの打撃戦の末に負け越し選手に見せ場無しの判定勝ち。やはり日本ランキングと言うのは昔みたいに10位くらいまでが妥当なのか?と感じた。

その後、こちらもアマエリート(アマ124戦104勝〔55KO・RSC〕20敗)の吉野修一郎がタイの東洋ランカーのチャイヨン・シットサイトーンと対戦した。

チャイヨンは58戦40勝(22KO)14敗4分と言う歴戦の古強者で、文字通りリングの酸いも甘いも知り尽くした古豪だった。前戦では中立国フィリピンでマイナー団体WBCアジア・ライト級王者になって、東洋ランカーにも名を連ねた。

ウェルター級でも出来そうなくらい大柄な吉野とは、大学生と中学生くらいの体格差があったが、この試合はある意味「チャイヨン教授のボクシング講義」だった。

チャイヨンは常にウィービングで頭を振って的を絞らせずにディフェンスして、吉野の力任せの攻撃には軽打のカウンターをポコポコ当てて対抗。常に立つ位置も変えて、致命打をもらわない工夫をしていた。

海外にはこうした負けの数は多いが、ボクシングを知っている古豪は多い。この試合の判定は吉野だったがチャイヨンも単なる噛ませ犬ではなく、ボクシング技術のあるボクサーであるのは古参のファンにはよく分かった。

④ではお待たせしました、メインの東洋太平洋スーパーライト(SL)級王座決定戦について述べることにしたい。