①では、後楽園ホールでのボクシング観戦における基本的な説明に終始したが、②以降は実際の試合を見ていきたい。
まず筆者が見たのは前座6回戦の垂水稔朗(協栄)vs林和希Jr.(八王子中屋)の66キロ契約の試合だった。
パンフでは垂水は3勝(2KO)2敗3分に対して、林は7勝(6KO)5敗1分と言う戦績だった。
ここで気になるのが林の7勝中6KO勝ちと言うハードパンチャーぶりであった。
「ボクシングと言うのは殴り合いだ。殴り合いと言うのは腕力があって腕っ節が強く、力づくで行けば天下が取れる」と思う人もいるだろう。
しかしボクシングと言うのは喧嘩(ケンカ)とは違う。林の喧嘩ボクシングがなぜこれまで通用しなかったのか?それを見て見ようと思った。
林のボクシングを見ていて思ったのは左ジャブや右ストレートを打つ時、両脇が少し開いている。
あしたのジョーで丹下段平が「脇をえぐるように打つべし」と繰り返しジョーに指導するシーンがあるが、この指導理論は正しく、脇の下を絞るようなパンチは相手も防御しづらく強いダメージの効果が出る。
しかし、林のパンチは脇が開いていた。これだと相手にバレバレのテレフォンパンチだし、効果的に腕の力が相手の体に伝わらない。
レベルの低い4回戦くらいなら、もともとの腕力だけでまだ通用するが、レベルが上がればわざわざパンチをもらってくれる相手などいない。
試合も、垂水が林のテレフォンパンチをかわして細かいパンチをヒット。4Rに一方的になった場面で、主審が林を救出しレフェリーストップで垂水がKO勝ちを決めた。
③では他の前座についても見ていきたい。
