①では体育会系の部活動の縦社会について個人的な考えを述べたが、②ではもう少し突っ込んだところを見ていきたい。

体育会の縦社会について描いた漫画は多い。名作「柔道部物語」の岬商業柔道部の伝統「ザス・ザイ・サ」と言う挨拶をシゴキで教えたり、今をときめくなきぼくろの「バトルスタディーズ」での名門DL学園の部に伝わる様々な伝統もそうだ。

こうして日本のスポーツ漫画の歴史と言うのは裏を返せば、体育会系のシゴキの歴史でもあるが、柔道部物語と言う作品は名作ではあるが、ああいったシゴキと言うのは(当時は許されていたのだろうが)今だったら顧問ももちろん校長まで監督不行き届きで処分されてもおかしくない話だ。

バトルスタディーズでも名門DL学園の主将の烏丸が、チームの勝利のために伝統を守るか、チームの将来のために後輩を守るか、と言う名門校とは言え18歳では抱えきれない悩みに頭を悩ませるシーンがあった。

実際のモデル校のPL学園も部員のイジメが原因で、一時期廃部になると言うこともあった(後に復活)。

日本人の儒教的価値観の「年上を敬え」というのを、年配の人間や教師が歪めて解釈したのが、今の体育会系のシゴキ&イジメの問題に発展してしまった。

もちろん体育会系の関係で出来た先輩後輩の絆がある人は反論するだろう。しかし、年上だというだけで威張る世界に価値があるように見えなかった。

古谷野孝雄の名作高校野球漫画「GO  ANd  GO」で越境組の芳陽高校で主人公の新田英吾の2年先輩に、チーム一の人格者で主将の柳典安が「イジメやシゴキは自分たちの代で終わりにしよう」と、そうした理不尽なイジメを自分が主将になってからやめさせるシーンがあった。筆者もこういう縦社会なら大歓迎である。

スポーツなら練習で厳しくするなら当然なのだが、理不尽なシゴキというのは誰だってやられるのは嫌だから、柳のように後輩に配慮して自分たちの代で止めるのが筋である。理不尽な伝統を継続するような救いようのない年上など、若い人は誰も尊敬しないから…。