昔のNumberで故・山際淳司の名作ノンフィクションに「逃げろ、ボクサー」という話があったが、今回はその逆かもしれないがご静聴願いたい。

もう10年以上前の話だが、日本のボクシング界に1つのニュースが入った。

「デビュー以来、15連続オール1RKO勝ちを続けているベネズエラ人ボクサーがいる!」

デビュー以来全KO勝ちでも衝撃的なのに、全ての試合でラウンドガール(2R以降の紹介のプラカードを持つ女性)を必要としないボクサーがいるのか?このボクサーの存在は俄かに日本ボクシング界を賑やかした。

男の名はエドウィン・バレロ。サウスポースタンスから直線的で強烈な左ストレートで並み居る相手を倒しまくっていたという。

当時(というほど古くもないが)はYoutubeか出る直前でネット動画という概念も無かったので、関係者はみな想像の範疇でしかイメージできなかった。

一方でボクシングというのは特殊な競技で、対戦相手を選べるという要素もある。そのため、ただ単に噛ませ犬を倒しただけのメッキのボクサーなのでは?という声もあった。

バレロというボクサーは本物なのか?偽物なのか?ことの本質を知る機会が訪れることになった。

東京の大手プロモーター(試合主催者)がバレロを招聘(しょうへい)し、ノンタイトルの試合をすることになった。そこでそのプロモーターは衝撃的なニュースを発表した。〈②に続く〉