冒頭のブログテーマを見て、日本語として文法上は間違っていないが、「なんだこりゃ?」と思う人もいるかもしれない。

「売り物がゴネる?どういう意味だ?」と捉えるのも無理はない。世の中の真っ当な仕事の人たちは食肉加工品や電子機器部品・文房具など、何かしらの「商品」を製造していて、またそうした人にもこのブログの読者にもいるだろう。こうして作られた商品というのは人間ではないので「俺の値段が安い!」「俺にはもっと価値がある」といった文句は言わないし、言える訳もない。

しかし、このブログの常連読者で勘の良い人なら分かるだろう。筆者のブログは「スポーツビジネス」で商品は「スポーツ選手」なのだ。そしてスポーツ選手は「人間」なので、売り物でありながら作り手に対して愚痴や不満を言ってくる厄介な商品であり、スポーツビジネスというのが言葉の耳触りの良い聞こえ方とはうらはらにヤクザな商売だ、と言われる由縁である。

スポーツビジネスという世界がそんな言葉のイメージをひっくり返すようなヤクザな世界だと言うのは他の文献を見ても分かる。

堀井憲一郎の「やさしさをまとった殲滅の時代」(講談社現代新書・2013年)の中で、著者の堀井氏がフダ屋(ダフ屋)に言及した一節で「野球も相撲も、マイケルジャクソンのコンサートも、ワールドカップの試合も、所詮は興行ものであって、人を大勢集めて金を取るということは、それはとりもなおさずヤクザな空間である」と述べていたが、ワールドカップに限らず、サッカーを含めたプロスポーツというイベントというのは、いわば下品な言い方になるが「見世物興行」の世界で、そうした世界の商品であるスポーツ選手というのは、売り物が自分の身体なので、いわば「人身売買」なところもある。〈②に続く〉