①ではラグビー五郎丸のルーティンの内部を見てきた訳だが、ただ単純な五郎丸のキックのことだけならそれまでのネットやメディアのニュースだけでは良かったが、ひねくれ者の筆者はその脇の下を締めるルーティンというのが、他のスポーツにも必要なことを述べたい。
今このブログ記事を書いているのは2016年大相撲初場所の14日目終了後(2016年1月23日執筆)で、大関琴奨菊が10年振りの日本出身力士の優勝間近の夜なのだが、この場所の琴奨菊の快進撃も五郎丸のキックではないが、脇の下が締まっていたところが大きい。
筆者が大相撲を見るきっかけになった理由の1つに琴奨菊があったので、他の日本人大関より琴奨菊の相撲というのは以前のカド番の常連という低迷期からずっと見続けていた。
この低迷期の琴奨菊の相撲というのは、相手を抱えこんで脇の下が甘くなって、栃煌山や豊ノ島と言った脇を差す(自分の上腕部を相手の脇の下に入れて押す状態を作る)力士に相手の形を作られて、序盤で星を落とすことが多かった。
しかし、初場所の琴奨菊は脇の下を(流石に五郎丸のルーティンはないが)しっかり絞って、下から上へ突き上げてがぶり寄りをする馬力相撲が序盤から出来ていて、豊ノ島には負けたものの13勝1敗と最高には近い成績を出せた。
平幕力士相手なら力ずくの粗い相撲でも勝てるが、三役力士には繊細で精密な相撲も必要になってくる。この場所の琴奨菊が快調だったのは持ち前の馬力を生かすための脇の絞りを徹底させたからだ。
脇を絞る必要性があるのは他のスポーツでも同様だ。筆者がやってきたボクシングでも「あしたのジョー」の丹下段平が「脇をえぐるように打つべし。打つべし」と矢吹丈に指導するシーンが見られるが、あれはボクシング経験者の筆者が見ても理に適った指導である。
ボクサーにとって最も重要なパンチというのは左ジャブから右ストレートのコンビネーション。いわゆる1・2というヤツである。世界王者でも完璧には打てない難しいパンチだ。
このパンチを打つためにトレーナーがボクサーに叩き込む一番重要な要素というのが、脇をえぐるように打つすなわち「脇を締める」動きである。
脇が甘くなると力士なら相手に二本差されて不利な姿勢になるが、ボクサーの脇が甘くなるとパンチのモーションが丸見えで「私のパンチはここから来ます。だからカウンター打って下さい」といういわゆる「テレフォンパンチ」になってしまい、そうしたボクサーはカウンターの餌食になるのがオチである。
今回はラグビー・大相撲・ボクシングという様々な格闘技から「脇を締めるのは重要」だと言うことを説明したが、おそらく他のスポーツでも同じである。このブログの読者の皆さんも、自分のスポーツではどうなのかというのを考えてもらいたい。