①では異業種のお笑いビジネスで観点から、イベントを打つというスポーツビジネスというのは天候という不確定要素の強いギャンブル性のあるビジネスことを説明した。

それは実際のサッカービジネスでも同様だ。「僕がバナナを売って算数ドリルをつくるワケ」(天野春果・小学館・2011年)でJ1川崎フロンターレのフロントの天野氏は2010年10月30日のジュビロ磐田戦で、ホームの試合に台風が直撃してその日予定していた観客動員が予想より大幅に下回ったという話をした。まさしく①で述べた落語家のイベントと同じケースである。

しかもサッカービジネスの場合、シーズン中でも営業可能日が30日中3日ぐらいしかないので、こうしたリスクを直撃した時はクラブに損害は一般企業のそれより遥かに大きい。

こうした天候次第というリスクを内包するビジネスは他にもある。レストランビジネスでもその店の一世一代のような大きなイベントに対して、店員やコック・関係者はイベント当日のためにイベント告知や料理の下ごしらえなどの下準備を徹底的に行っても、当日の天候が悪天候なら利益率の変動は大きく変わってしまう。それはここまでの説明の経緯を見ればわかることだ。

スポーツという本来なら見世物興行に過ぎなかった娯楽が、イベント集客力としてパワーを発揮するビジネスとなって、利益率を計算された商売となったのはここ20年というビジネスの歴史としては最近のことだ。

一方で「スポーツビジネス」という娯楽を仕事にするというイメージで、楽しいばかりの感覚が強いように思われるかもしれないが、スポーツビジネスというのはイベント当日の天候状況が悪化すると利益率が激減するシビアなビジネスの要素も強い。

今の時代スポーツもそうだが、娯楽を仕事にすると楽しいことだらけと口当たりの良いことばかり言う人もいるが、現実のスポーツビジネスというのは一種の丁半博打のような、利益の上下動が激しく安定とはほど遠いビジネスなのである。