①では首都圏にあるスケートリンクのキャパが到底、東京のような大都市のフィギュアファンの需要を満たせるような規模ではないくらい小さいことを述べたが、②ではこうした東京のスケートリンク事業について考えてみたい。

今も述べたが東京のフィギュアスケートの人気は高いが、一方でそうしたスケート人気を下支え出来る大規模なリンクは存在していないのも事実である。

そのため東京近郊で大規模なフィギュアスケートの大会を行うには、国立代々木競技場第一体育館のような施設にスケート用の氷を張るという、大会のたびにスケートリンクを作るという作業をしなければならない。

しかし、このやり方は「毎回高級住宅地を建設して、(大会後に)取り壊し作業をしているようなモノ」非効率極まりない手法だ。

そうした大規模スケートリンクがないため大会運営に無駄なコストがのしかかり、結果的にフィギュアスケートのチケットというのは安いチケットでも10000円超えがザラになった。

しかし、スポーツがビジネスという側面もある一方で、メセナ(企業などの文化事業での社会貢献)としても近年様々な分野で言われているのに、こうした日本の企業に対するフィギュア環境の未整備というのは、急成長した成績はソフトの部分で先進国でも、そうしたフィギュアスケーター育成環境としてははっきり言って後進国である。

またフィギュアスケートという競技はスポーツという優劣を争う娯楽のなかでは、強さを競うようなオス的な部分を争うのではなく、絶対的な審美眼を競うメス的な要素が強いスポーツの中では極めて稀有な競技である。

そうした中で、スポーツに限らず日本社会での消費活動から経済を活発化するために、現在は女性の購買意欲を刺激させる必要性が言われる中で「女子力の強い」フィギュアスケートという競技の選手育成環境の整備というのは、リンクを建設する金額的なコストを負担して余りある社会的な寄与をアピール出来る働きがある。

筆者はそこまでフィギュアスケートのファンという訳ではないが、そうした人間でももっとこの競技に対する企業や国の支援は必要性を感じる。

参考文献  週刊東洋経済  2010年5月15日号