①では筆者と有明コロシアムとの関係性を述べたが、②では試合のレビューに移りたい。

この日の有明コロシアムの世界戦というのは単なるタイトルマッチという枠に収まらず、衰退する日本ボクシング界への関係者の危機感を凝縮させたような興行だった。

と言うのも、日本のボクシングというのも世界王者=日本という国の国威高揚という考えが通用しなくなり、世界戦にも試合以外にも興行+付加価値を添加させて日本全体にアピールする筆者が出てきた。

そのため今回の有明興行ではボクシング界としては画期的なももいろクローバーZのライブをハーフタイムショーとして行ったり、かなりファンサービスという部分でも実験的な興行であった。

ももクロのライブは後述するとして、今回の興行は試合のカードも充実していた。

その中に元世界王者の下田昭文vs3度の世界挑戦経験のある細野悟との日本フェザー級タイトルマッチ(幕之内一歩が持っていたタイトル)があった。

このカードは並の世界戦より興行価値があり、もし後楽園ホールでこの試合があったら、満員札止めになっていただろう。

そんな注目される試合だったが、挑戦者の下田が圧倒的なスピードで前半はポイントを獲ったように見えた。Feather(=羽)とはこの日の下田のためにあるようなくらい、まるで下田の背中に羽があるように軽快にリングを舞った。

…ところが…

5回の公開採点ではまさかの細野のリード。この採点発表が天才下田の優雅な舞のリズムを狂わせた。

まさかの失点にペースが狂った下田は後半に入り、ボクシングが徐々に雑になる。そして8回にはまさかの減点-1。こうした誤算が尾を引いて結局このタイトルマッチは2-1で日本王者細野の防衛成功となった。

正直この試合は両者の持ち味が存分に発揮しただけに採点には失望した。

ダブルメインの世界戦やももクロについては③以降にしたい。

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