①ではスポーツ文化が無い国での競技の普及活動について述べた訳だが、②ではそれについてもう少し深く考えたい。
筆者が20年見ているプロボクシングという競技は、サッカーほどでは無いが国際的でグローバリズムな競技である。統括団体の加盟国を表にすると多い。
しかし、実際には現地ではコミッション(国内の競技統括委員会)が全く機能しておらず、開店休業状態のところも多い(①のスリランカもそうだった)。
ボクシングの場合、東洋圏内で日本以外で活動しているのは韓国(今は弱い)・タイ・フィリピン・インドネシア・豪州くらいである。
そのため東洋タイトルマッチでも、ボクシングファンは(娯楽にとっての最大の敵である)「マンネリ」や「飽きられる」ことになり、実際に今の日本のボクシング興行には客はほとんどいなくなった。
しかしそんな状態で他の国が新規参入するということは、業界の活性化に繋がることになり、一種の起爆剤の可能性もある。
前述のネットのニュースでもミャンマーから興行のオファーがあり、 こうした普及活動をすることは巡り巡って日本ボクシング界にとって恩恵を受けることになる。
2011年に民主化し、経済が活性化したミャンマーの場合、国内の伝統的な格闘技でムエタイのルーツである「ラウェイ」という競技があり、ミャンマーのラウェイ選手を見るとやや変則的なパンチを打つが、ミャンマーに多い小柄な選手が選手層の薄い軽量級でチャレンジすれば、男子でも世界王者は十分可能だ。
昨年(2015年)はサッカーW杯2次予選で、シンガポール代表イズワンやカンボジア代表ヤティといったGKが文字通り堅牢な壁としてゴールマウスを守り、東南アジアのサッカーという競技のレベルアップが証明されたのは記憶に新しい。
他の競技でスポーツ未開の地であっても、長期的なビジョンの元で選手を育成すれば競技レベルの向上が可能なのはサッカー界が証明している。
今、東南アジアのサッカーチームがJリーグを戦力外になった選手の受け皿になっている。
ボクシング界も他の成功したスポーツビジネスから学んで、普及活動する価値は大いにあるのだ。