①では広州恒大とそれを取り巻く中国サッカー界について見てきたが、②でもそうした部分をもう少し深く追求していきたい。
①でも触れたが、少し前の中国サッカー界というのは、正直見るに値しないという評価が一般的だった。
中国は肉体労働を卑しむ儒教発祥の地だけあって、中国人の女子マラソン選手が生活に困って国際大会のメダルを売って生活費にあてる話があるほど、国内におけるスポーツ選手の存在やステータスが低い国であった。
サッカーの中国代表選手というのも、アジアの強豪が2つ抜けて予選通過のハードルが低かったW杯日韓大会で初出場したものの、代表選手の買春問題や国内リーグでの八百長で、国内の足迷(サッカーファン)から総スカンを食っていた時期もあった。
…ところが…
ここ数年の中国サッカー界は変貌を遂げつつある。世界的な外援(助っ人外国人)が中国国内に流入することにより、国内の中国人選手に対する強い意識の変化に成功し、中国人選手のレベルアップにも繋がっている。
広州恒大も日韓大会でブラジル代表を指揮したスコラーリが監督になり、現役のセレソンでのボランチのパウリーニョがレギュラーになって、これだけ世界レベルのサッカー人がチームに集結して、強くならない方が不思議だ。
日本も昔のJSLの実業団時代は(中国ほどひどくはなかったが)喫煙や練習に対する意識などでどこかヌルい感覚があったというが、Jリーグ発足でジーコやドゥンガが「プロなら普段カップ麺は食べるな」「試合前日に飲酒するなんてプロ失格だ」など、どこかアマチュア意識があった日本人選手に強烈なプロ意識を注入して、Jリーグ発足後から4年で、悲願のW杯出場を果たした、という歴史がある。
中国の場合前述の通り、既にW杯には出場経験はあるのだが、広州恒大もチームメイトに現役セレソンがいて、アジア制覇した後にCWCで世界中のサッカーファンの最終目標であるバルセロナFCとガチで試合をして、中国人選手というのは測りしれない経験値を積み上げているのである。
今サッカー日本代表も伸び悩んでいるが、東アジア選手権で中国代表とは引き分けたように、いずれ足元をすくわれる日も来るかもしれない。