①では力士の破壊力に対して数値や中身についてアプローチしてきたが、②では力士などの話から力士の想像を絶する世界を見ていきたい。

筆者も格闘技をやってきた者として、また最近相撲観戦を楽しむようになって、力士のディープな世界の一部を知るようになったが、力士というのは本当に厳しい世界である。

1番印象に残った言葉としては、元大関の小錦(現タレント)と対戦した力士が言った言葉で「対戦する時にぶつかってくる小錦のイメージは『エンジンを吹かしている軽トラックに真正面から突っ込む』感じだった」というのがあった。

既に人間と対戦するイメージではなかったのである(滝汗)。

その小錦も引退してから減量して、MRIに入れるようになって初めて肩の腱が断裂しているのが分かったという。

他の力士も「力士の受ける衝撃を考えたら取組は軽い交通事故みたいなモノ」と言っていた。

また元大関の栃東(現・玉ノ井親方)が、「横綱朝青龍との対戦で、張り手で前歯二本を折られた上に鼻血が止まらなくなって一時中断した」(…)という話をしていた。

その栃東も引退したのは脳梗塞が原因だった。力士の脳梗塞というのは一般人のそれとは違い、立ち合いでぶつかった時の頭部の衝撃に(もともと細かった栃東の)脳の血管が耐えきれなくなって引退したという話だ。

こうして力士の破壊力を見てきたが、テレビで戦っているお相撲さんというのは壮絶な世界で文字通り「格闘して」いるのである。相撲取りの力を軽く見てはいけない。

参考文献  R25  2010年6月18日号