筆者もこういうブログをやっているので、色々な本を読んでいる。そしてこのブログの読者は分かると思うが、サッカー本も多数読んできた。
しかし、欧州サッカーというモノを理解するためにはサッカーだけを理解しているだけでは不十分でサッカー以外の要素も理解していないと、欧州サッカーの価値観というモノは見えてこないのである。
前に政治学者の姜尚中が「世界の紛争の問題になる根源はマネーを別にすると、『歴史』と『民族』、そして『宗教』である」とあったが、生き死にがダイレクトに絡む紛争と娯楽の1つであるスポーツの試合を一緒にしてはいけないが、紛争まではいかなくとも欧州の国境線というのは上記の3つに集約されているのも事実だ。
その中で欧州で国境線の問題がないところでも、サッカーのダービーというのは様々な要素があって対立している。
世界中のサッカーファンの聖地になりつつあるスペインのクラシコもレアル(スペイン政治の拠点であるマドリードを中心としたカスティーリャ地方)とバルサ(国内随一の商業都市バルセロナがあるカタルーニャ地方)との対立がある。
スペインはフランシスコ・フランコがスペイン内戦(1936~1939)の後に第二次大戦は中立、そして大戦後はそのフランコの独裁政権下でカスティーリャ語(スペイン語)を強要するが、バルサの本拠地であるカンプ・ノウ(現地語読みはカム・ノウ)だけは自分たちのアイデンティティーであるカタルーニャ語が話せたという話は有名だ。スペインの場合はカタルーニャ地方に限らず、バスク(ビルバオ)やバレンシアなど他の地域も地元意識が日本人より遥かに強い。
イタリアも近代に入るまでバラバラの都市国家だったのが、1861年にイタリア王国が統一されたという統一国家としてより、都市としてのアイデンティティーが強いが故にダービーではあれだけ対立するのである。