①ではラグビーW杯で日本代表が歴史的勝利を果たしたことについて筆者が色々意見を述べたが、これからラグビー界が日本国内でさらなる普及の正念場であるために、別のウインタースポーツの挫折からこれからの方向性を考えるための糧にしてもらいたい。
では自国開催の1998年長野五輪で普及に失敗したスポーツとは何か?という話である。
その競技は「アイスホッケー」である。筆者は最近とあるきっかけからこの競技にハマるという程ではないが、追っかけるようになった。
若い読者にはわからないかも知れないが、90年代末あたりではアイスホッケーという競技は、そこまで認知度は今ほど低くはなかった。
90年代にサッカーのJリーグがプロ化に成功して、欧州サッカーと共に北米のプロスポーツにも興味が集まった。
その中に北米アイスホッケーのNHLも注目されるようになっていった。
この頃のアイスホッケーだと鉄壁の守護神であったチェコのGKドミニク・ハシェックやカナダのウエイン・グレツキーなど、アイスホッケーの門外漢である筆者でも知っているプレーヤーはいた。
この流れで日本のアイスホッケー界も自国開催である長野五輪で好成績を収め、国内のアイスホッケー人気を高めたかった。
…ところが…
この長野五輪でアイスホッケー日本代表は惨敗。国内の普及活動が頓挫してしまったアイスホッケー界はその後坂道を転げ落ちるように低迷していった。
実業団チームは相次いで廃部になっていって、国際大会の成績も低迷したまま。日本リーグという形が維持できなくなり、無理矢理アジアリーグという形でリーグ運営をしているのである。
国内のウインタースポーツというのも長野五輪で好成績を挙げたスキージャンプや2006年のトリノ五輪で金メダルを獲った荒川静香のフィギュアスケートに人気に完全に差がついて、アイスホッケーはマイナー競技になってしまった(ジャンプもフィギュアも強化に成功したので当然なのかも知れないが)。
話を戻してラグビーになるが、ラグビーも昨年(2015年)のW杯で好成績を収めて今日本のラグビー場はライト層を中心にファンが集まっているだろうが、2019年の自国開催のラグビーW杯で惨敗してしまったら、アイスホッケーのようにボロボロになる可能性もある。
ラグビー日本代表の選手たちもエディHCがいなくなってキツい練習から解放されるというのではなく、より体に鞭(むち)打って練習しないと国内リーグの維持もままならなくなる。前述のように実際にそうしたスポーツは存在するのだから。
日本ラグビー界にとって、ここから3年半は文字通り正念場である。