①では日本のプロサッカーの世界で、サッカー小僧が自分の試合や練習に忙しすぎて、プロの試合に行けないという矛盾を述べたが、それは他のところでも言われている。

最近ブームになっている漫画でサッカーの地域リーグの漫画「フットボールネーション」(大武ユキ・小学館)という作品があるが、本編ではなくおまけ漫画で気になる話があった。

その漫画の作者と仲が良いアラサー女子(既婚で子供もいる)が、周囲の影響で子供にサッカーをさせるようにしたら、サッカー少年団の世話が忙しくてJリーグの試合をほとんど見られなくなった、と言っていた。①で話したことというのが現実に起こっているのである。

能田氏の別の漫画でも、自分の作品の編集者が高校大学までサッカーボールばっかり蹴っていて、Jや欧州に興味がないと言っていた人間のいわば「やる側」の人間を、大人になってからサッカースタジアムに連れて行って「見る側」デビューさせてみると、「Jリーグって面白いですね。ハマりました」と言っていた。

この時に能田氏は「もったいないよ。Jリーグ…」と言っていたが、全く持って同感である。

筆者もボクサー時代に練習が忙しすぎて後楽園ホールに行く暇が無くて、現役を引退してから会場で試合を見る楽しさと試合を客観視する重要性を知ったが、何のスポーツでも同じだがスポーツを「する側」を練習や試合に拘束しすぎると、「見る側」としての種が撒(ま)かれることがなくなって、結果的にそのスポーツとしての文化が貧弱になってしまうのである。

球技でも格闘技でもそうだが、結果にこだわりすぎると巡り巡って自分たちが損をすることをスポーツの関係者は自覚しないといけない。