①では大晦日のボクシング世界戦の集中開催が観客にストレスを掛けるということを述べたが、②では他にも困る人がいるので述べていきたい。

集中開催で観客以上に困る人がいる。それはプロボクシング興行の運営を司るコミッションの裏方さんである。

ボクシングの試合というのは時間を管理するタイムキーパーや医療面をケアするコミッションドクター、試合時のアナウンスをするリングアナなど様々な裏方さんの地道な努力によって見えないところで、円滑な試合の運営がなされている。

こうしたコミッションに所属する裏方さんには昼間は別の仕事を持つ人も多く(リングアナには演歌歌手の人もいるし、タイムキーパーは時計メーカー勤務の人もいる。ドクターも試合での収入は一般の医療機関で稼げる相場の5分の1程度でサポートする時もある)、それぞれが自分の貴重な時間を割いてボクシング興行の運営に汗を流している。

しかし、世界戦という大舞台が集中すると彼ら裏方の立場の仕事も短い時間に集中するので、負担も激増する。

2014年の年末に世界戦のスコアの集計ミスが物議を醸したが、プロモーターは興行の論理以外にもこうした部分も考慮すべきである。

また年末に世界戦が集中することは他にも問題がある。

普通、世界戦は大体4カ月ほどのインターバルで行われる。大晦日に世界戦が集中すると、大体大晦日(1月の直前)→5月→9月と世界戦が組まれるが、1月・5月・9月は東京には大きな格闘技イベントが毎年開催される。

察しの良い読者は分かったであろう。そう。大相撲である。

ただでさえ似たようなイベントの上に、今の大相撲はかなりのキラーコンテンツである。

その上、この時期の両国国技館は取組のない時も、土俵の準備などでボクシングの世界戦の開催は事実上不可能だ。

例外的に畑山隆則が崔龍洙と世界戦をした時が1998年9月5日の両国国技館であったが、筆者がこの時期に国技館を使えた世界戦というのは、これくらいしか知らない。

筆者も最近は大相撲も好きになったが、今のボクシングのスケジュールだとまず国技館で世界戦が見られない。

国技館というのは室内競技観戦の理想形のようなアリーナで、いわゆる「すり鉢状」という形で会場のどこから見ても見やすい形なので、国技館で観戦に不満にはなりづらい。

しかし、前述のスケジュール表だとその格闘技観戦がしやすい両国国技館が、大晦日どころかGWや晩秋にも無理になるので、いい加減なんとかしてもらいたい。

他にも大晦日ありきのスケジュールだと怪我をするとインターバルが次の1年先まで無駄に期間を空けるなどまだまだあるが、これくらいにしておく。

今回のブログはボクシングファンの愚痴っぽくなって申し訳なく思うが、今のボクシング興行の仕組みはかなり色々なところに無理がある。

ボクシングというスポーツがちゃんとした形で運営されることを望みたい。