①で日本や欧州のサッカー代表選手のポジショニングが選手としての価値を左右するということを述べた訳だが、②では他のカテゴリーでも考えていきたい。
①でもジェフ千葉の話をしたが、ジェフが夏の移籍ウインドーで名古屋から獲得した松田力(まつだ・りき)というFWがいる。シーズン途中からの加入だが既に4得点を稼いでいる。
先日J2で松田のプレーを見ていたが、松田のジェフの伝統である日本サッカー界のちびっこギャング団という系譜を受け継ぐ小柄なFWだが、松田も放り込みからハイボールでエアバトルができないのは最初から百も承知だ。
そんな松田が過酷な環境であるプロのピッチに適応するための手段が、今回のテーマである「ポジショニングの質」である。
秋に入って松田のプレーを見ていたがETUの世良恭平ではないが、とにかくすばしっこい。ゴール裏にいると同じ場所にいることはほとんどなく、常に動いてポジショニングを変えている。
9月の栃木戦ではそうした巧みなポジショニングから、ゴラッソな2ゴールを決めてチームの勝利に貢献したが、この時松田が巧みな足元の技術に注目が集まっていたが、松田のゴールで重要だったのはその前のポジショニングのうまさであった。
他のポジションでもサッカー選手にとってポジショニングは重要だ。
筆者が大尊敬するスポーツ漫画家の古谷野孝雄の名作高校サッカー漫画「ANGEL VOICE」で主人公のチームの正GKの所沢均(ところざわ・ひさし)が、強豪大学との強化合宿でGKコーチからキーパーのポジショニングの重要性を教わり、コーチングと同様に常に位置取りを考えたプレーをするようになったが、サッカーというスポーツにおいてFWからGKまで全てのポジションでポジショニングが重要なのが分かる。
いくら身長が高くても単なる木偶の坊(でくのぼう)では過酷なピッチ上では淘汰される。ピッチで生き残り、なおかつサッカー選手として自分の値段を上げるにはポジショニングの重要性を理解しないといけない。