サッカーニュースのみならず一般のネット記事にもあったが、サッカー元日本代表のゴンこと中山雅史が現役復帰を表明した。

2012年シーズンにJ2札幌で現役選手としての活動を停止していた中山だったが、その時も「引退」とは口にせずに「未練タラタラです」とインタビューに答えていたが、3年の雌伏の期間を超えてまさか誰も予想だにしないカムバックを果たした。

復帰先は出身地でもある静岡県にあるアスルクラロ沼津。このグラブは日本では4部リーグにあたるJFL。中山は前所属先から2つカテゴリーを落としての現役生活の「リスタート」となった。

それにしても驚きのニュースである。ドーハの悲劇を経験し、フランス大会ではW杯での日本代表の初ゴールをジャマイカ戦で叩き込み、日韓大会でも代表招集された日本サッカー界のまさしくレジェンド。

その男がかつての栄光やごく一部の勝ち組の中の勝ち組にだけ保証される輝かしいセカンドキャリアを(文字通り)蹴ってまで、アマチュアサッカーという底辺でサッカー選手という立場にこだわるのか?

しかしこのカムバックを聞いて、筆者は思い出したアスリートがいた。

ボクシング世界ヘビー級王者のアメリカのジョージ・フォアマンである。

フォアマンの場合、引退後にキリスト教の福祉機関で働く為の資金や離婚での訴訟費用など、個人的でなおかつ特殊な問題も絡んでいたが、いくら怪我を理由に辞めた訳でもないとはいえ、1990年代初頭でのアラフォーのリング復帰は正気の沙汰と思われた。

しかしフォアマンはボクシング特有の不可解な判定にも腐ることなく、1994年11月にマイケル・モーラーを破り45歳での世界王者復帰を成し遂げた。この時フォアマンはリング上でこういう名言を残した。

「老いは恥ではない」

流石に中山の場合、種目も目標も違うので代表招集が目的とは思えないが、こうした「オヤジ・アスリート」がスポットライトの当たる晴れの舞台で戦う姿は、今リストラや給料カットで肩身の狭いアラフィフのサラリーマンには心の清涼剤であろう。

②では野球の世界からまた別の現代スポーツ界におけるオヤジ・アスリートの現役復帰の構図を見てみたい。