①ではサッカーにおける標高が高いスタジアムでの試合の問題を挙げていったが、②では他の競技についても触れてみたい。

次に考えてみたいのは野球である。野球で標高の高いスタジアムで思い出すのはMLB(メジャー)のコロラド・ロッキーズの本拠地で、コロラド州デンバーにある。クアーズ・フィールドである。

クアーズ・フィールドは標高1600mという高地にあるスタジアムでアメリカでは「マイル・ハイ・スタジアム(1マイル=1600m)」と呼ばれている。

こうした高地にある野球のスタジアムがある場合にどういう傾向があるかというと、①でも述べたがボールがよく飛ぶ傾向が強いので、野球の場合バッターが有利になる傾向がありホームランや長打が出易くなり、打高投低の傾向が強くなる。

その為ロッキーズのフロントは毎年チーム編成する時に投手陣より強力打線を揃えて、投手を中心にした守備を基調とした編成ではなく、パワフルな打者を揃えた打ち勝つ野球を毎年考える。メジャーの球団というのはそのチームのフロントの哲学もあるが、一方で(ロッキーズに限った話ではないが)いわゆる「地の利(この場合ボールが飛ぶ打線有利な球場)」を活かした選手の編成をするモノだ。

そうした中でドジャース(当時)の野茂英雄は1996年9月17日に、そのロッキーズ相手にノーヒットノーランを達成したのは偉業以外の何物でもない。

クアーズ・フィールドはノーヒットノーランどころか1ー0の試合すら数えるほどしかない、とにかく点の取りやすい球場なのに、そこで(普通の守備中心で打線の弱いチームでも難しいのに)強力打線のロッキーズからノーヒットノーランをするというのは(この試合が雨の中の試合というのも有利に働いたこともあったが)、どれだけ野茂英雄という投手は凄いのか?という話である。

こうして今回は標高の高いスタジアムでの試合について考えてみてみたが、高地での試合ということでも色々な要素があり様々な思惑が絡むモノである。