①ではバレーボールの指導者が固定観念を捨ててコーチングする必要性について述べたが、迷信や固定観念というのは日本の国技である野球というスポーツにも多く残っている。

筆者のブログでよく出てくるが今更説明不要の名将の野村克也監督が、よくご自身の著書でも「固定観念を壊して常識を疑う」必要性を繰り返し述べている。

その中に野球の変化球でシュートという球についてこんなことがあった。

シュートという変化球は球を投げると打者の内側にえぐるボールだが、このボールは多投すると肘に負担をかけると長い間日本球界では言われてきた。

野村監督はシュートという変化球を投げるとどういうところが肘に悪いのか、現役時代シュートの使い手として有名だった西本聖(元巨人・中日)にシュートのことを聞いてみた。

しかし西本は野村監督の質問に対してこう答えた。

「監督。シュートを使う時には肘はほとんど使わないから壊しようがない。シュートを投げる時に重要なのは指先の感覚ですよ」

野村監督はこの西本氏の言葉で「シュート=肘を壊す」というのは単なる迷信という事が分かった。

そして野村監督は阪神の監督時代にキャリア晩年を迎えていた遠山奨志に、スライダーに加えてシュートをマスターさせて松井秀喜キラーとして活躍させ「野村再生工場」の成功例の一つをつけ加えた。

野村監督が監督として成功してきた裏側には、常識を疑い何でも実践してみる行動力というモノがあった。何の競技でも同じだが、迷信を丸呑みして思考停止せずに常識を疑って行動する事も時には必要である。