前回の指導者の話に対する続編のような要素があるが、名将と迷将を分ける資質の一つとして「常識を疑う」能力があるかどうかというのもある。

これは単に周囲の人間を信用せずに信じるのは自分自身と金だけの人間になる、という事ではもちろんない。

ここで言う常識を疑うというのは、その競技の世界の教えが実際に真実なのかもしくは実は単なる迷信なのかを実践する能力の事である。

まだ読んでいる途中の本だが、高校バレーボール日本一になった監督の蔦宗浩二氏の「日本一への挑戦」(バレーボールアンリミテッド刊・2007年)と言う本で、要約するとこんな下りがあった。

「自分(蔦宗氏)が現役時代レシーブする時に先輩から『腰が高いぞ!』とよく指摘された。しかし指導してみると、実際にレシーブする時に目線をブレないようにしたり、目線の高さを注意したり、他にも注意しなければならない事は色々あるが、少なくとも腰の位置が高くても効果的なレシーブは可能で、腰の位置を低くしなくても良いレシーブはできるという事が分かった」と言っていた。

そして蔦宗氏は「指導者は固定観念を捨てなければならない」と言っていた。

まだ筆者の齧った(かじった)知識でモノを言うのも何なのでこのくらいにしておくが、指導者にとって固定観念というのはある意味最大の敵かもしれない。②でも固定観念を壊す重要性について述べたい。