①ではJクラブにおける人口経済の考え方と浜松市が十分Jクラブを保有出来る規模の自治体だということを述べたが、②では何故浜松市がJクラブを保有しないのかについて述べたい。
浜松市というのは全国規模でみると十分大都市なのだが、知っての通り浜松市というのはいわゆる企業城下町という街である。
「企業城下町なら豊田市だってトヨタの企業城下町だろ!でも名古屋グランパスがあるじゃないか?磐田市にもヤマハが母体のジュビロ磐田がある!企業城下町だからと言ってJクラブを持たない理由にならない!」と思うかもしれない。
しかしこれは企業城下町というよりその企業のDNAの問題である。
浜松市というのはホンダの企業城下町である。ホンダの究極的なDNAというのはサッカーではなくF1である。
ホンダという会社が最も望むことは自分のF1チームのレーサーが表彰台の一番の高みに立つ事そしてそこでシャンパンシャワーを受ける事であって、J1優勝の表彰盾を勝ち取る事ではない。
以前筆者のブログで「日本の景気はホンダを見れば分かる。ホンダがF1に参戦してれば好景気。撤退してれば不景気」と言うがホンダとF1という両者はどちらかが消滅しない限り、関係が途切れる事のない繋がりがある。
そんなF1チームの運営には年間400億円が必要と言われ、ホンダはJリーグ発足時に日本リーグの強豪にもかかわらずJ1クラブの年間運営費用30~40億円の捻出が、F1チームとの両立しながら出来るのかと言う課題に直面し、最終的に「ホンダはサッカーではアマチュアリズムを貫く」と言う意思を表明した。
勿論浜松市民も全員がF1のファンではなく球技のチームの需要もあって、独立系プロバスケリーグのbjリーグに浜松・東三河フェニックス(2014~15年シーズンのbj王者)が存在しているが、bjリーグの場合、サラリーキャップで運営費の抑制もあって年間予算が1~2億円で済む事もありこの規模のチームなら存続可能という事もあり活動している(もっともこのチームは実業団バスケのオーエスジーが母体だが)。
こうして見るとスポーツビジネスという業態も色々な企業や自治体の考えが交差している。何億というお金が動くビッグビジネスには様々な組織の思惑が動いている。