①ではバレエについていかに金がかかる習い事かという事を述べたが、②では競技の特徴として似ている部分のあるフィギュアスケートを見てみたい。
今回このテーマでフィギュアスケートの事を調べ直したが、デフレ不況の今の日本に反比例するかのような育成費というモノに対して一種のハイパーインフレの世界になっている。
今「ゴールデンカムイ」という漫画でブレイクした(筆者が大尊敬する)野田サトル氏のアイスホッケー漫画「スピナマラダ」で、主人公の白川朗が元ジュニアのフィギュアのトップ選手で、双子の妹ハルナが母子家庭の母親に「フィギュアスケーター二人を養う経済力はないから、(ハルナは)フィギュアを諦めて」と言われてハルナが泣く泣くフィギュアを諦めたシーンがあったが、フィギュアスケーターを養う家庭は火の車というのが調べて合点がいった。そのくらいフィギュアは金がかかる。
試合でのスケートの衣装もショート・フリー・エキシビジョンの3着が必要だが、既製品でも1着15万円でデザイナー発注だと1着100万円(‼︎)する。
スケート靴も1シーズン1足と考えても高級品なら1足10万円するし、ブレード(刃)も消耗品だ。
フィギュアは野球やサッカーのように1人の指導者が沢山の選手を面倒見られない競技なので、指導者に対するコーチ料の客単価も当然高くなる。一般のスケート教室なら月謝1万円だが、フィギュアの日本の一流コーチなら「時給1万円(‼︎)」とも言われる。
その上衣装もスケート靴も競技人口がそれほど多くない上に、子供だからどんどん身体が大きくなるからいくらでも費用はかかる。凄い世界だ。
他にもフィギュアが金のかかるという話はまだまだあるがこのくらいにしておく。①のバレエにしても、今回のフィギュアにしても舞台(or氷上)で気高く美しく舞う(一種の)芸術家を1人養うには、それこそ優雅に泳ぐ白鳥が見えない足元の水掻きを必死に使って努力している。
バレエにしてもフィギュアにしても一般の日本人家庭では1人養うのが限界だ。前にも言ったが男女のカップルが結婚して、子育てを考えて子供を1人にするという社会的な価値観では少子化は避けられない(2014年の新生児人数の概算値は100万1000人で、9月に発表予定の同年の確定された新生児人数では100万人の大台を割り込む可能性もある)。バレエやフィギュアだけではないが、教育費の高騰について国民全体が考え直す必要がある。
参考文献 あの野球選手とゴルフ選手はどちらが儲かるのか? 松尾里央 TAC出版 2010年