①では日本におけるマイナー競技へのグラウンド確保がいかに難しいかを述べたが、②では東京都心部ではメジャーな競技でも練習するスペースを確保が難しいことを見てみたい。
以前Numberのコラムで「テニス難民」と言う記事があった。これによると都心部ではここ何年かテニスをしたくても、コートを確保出来ずにテニスをプレー出来ない愛好家が増えたとあった。
テニス難民が増えた背景として、テニスは競技人口の多いメジャー競技だから、他のマイナー競技に比べ都心に土地を持つ地主の理解を得やすい。
…しかし…
こうしたテニスコートと言うのは借地なのが普通で、そのコートの借地権が切れて新しくテニスコートにしようともこの平成大不況の昨今、新しくテニスコートにして安価で貸すよりその土地をビルや駐車場にした方が収益性を高めた方が良いと判断する地主も増えている。
またコート上の土地に掛かる固定資産税が払えずに泣く泣くコートを潰したケースもあるという。
テニスもそうだが筆者の拠点の錦糸町界隈の高校で、練習するスペースを確保するのもかなりの労力が必要である。
高校野球という日本の学生スポーツの中でも圧倒的な人気を誇るコンテンツでも、実は足元は白鳥の水掻きではないが見えないところで関係者の尽力や奮闘があるのだ。
都立高校の場合、江戸川球場での試合をしたくても城東(都立だが甲子園出場経験あり)や紅葉川・江戸川高、他にも篠崎や葛西工業・小松川に小岩それに小山台(都立ながらセンバツ出場校)など都立高校でこの球場を使いたがっている野球部は多い。
しかもそれにプラスしてシニアリーグ(硬式球を使う少年野球)や軟式の少年野球も狙っているのでライバルが山ほどいる中で、中々確保出来ないという厳しい現状なのである。
一方同じ地区の私立高校野球部は日大一高は船橋市に、安田学園は千葉市で関東一高は千葉県白井市に硬式野球のグラウンドを確保して、甲子園出場を目標に日夜努力している。
他にも名前は伏せるが錦糸町近郊の某私立高校は、小さな公園のような猫の額のようなスペースで素振りやトスバッティングをする学校もある。
こうして都心部におけるグラウンド確保の難しさを見て来たが、日本も真のスポーツ大国へ脱皮したいなら日本の無名のテニス愛好家や高校球児が場所のことを気にせずプレー出来る環境が必要だ。
参考文献 高校野球マネー事情 熱い視線とお金の話 手束仁 日刊スポーツ出版社 2012年