先日の代表の試合で日本サッカーには闇雲な高速化したサッカーで壁にぶちあっているが、そうしたサッカーに対してタイミングをズラす「緩急」の重要性を説いてきた。
しかしまだ書き足りない気がするのでもう少し補足したい。
先日このブログでスピード型のボクサーが高速化だけでは世界の頂点には立てない(また仮に立ってもその座を維持できない)ことを説明したが、ボクシングというマイナーな競技に限らず高度に緻密な要素が急速に発達した現代スポーツ界では、高速化一本では難しい時代になった。
先日説明したことと重複する部分もあるが、ボクシングでもジャブというパンチひとつとっても、一流のトレーナーに言わせてみれば何種類ものパターンに細分化されて、そのそれぞれのジャブに意味や役割に違いが出てくるモノである。
このブログの記事は「緩急」なのでスピードのことに言及したいが、海外のトップ選手になると探りの意味の強い通常のスピードで出すジャブもあれば、撒き餌(まきえ)の要素が強い囮(おとり)の意味の遅いジャブ、ゴリゴリ内側に飛び込むファイター型に対して牽制する意味での速く強い要素のジャブと、ジャブひとつとっても何パターンもあり、上に行くボクサーというのはこの速さの近く違うジャブで緩急をつけながら相手を翻弄する。
(古くてダサい表現だが)スピードスターのボクサーは高速化だけでは、国内・東洋までは相手をその一本調子の高速ジャブで牽制できるが、世界になると前に書いたタイミングをズラす緩急が必要になる。
本人やトレーナーが漠然と高速化の伸ばすだけの練習では、努力の方向性が間違っているのでうまくいかないのは当然なのだ。〈②に続く〉