〈②からの続き〉ミャンマーの格闘技がサッカーにスポンサーをごっそり奪われた話をしたが、それは東南アジア全体の現象なのだ。
東南アジアでは有数の先進国であるタイ。この国は周知の通り伝統的な格闘技としてムエタイがある(前述のラウェイがムエタイのルーツとも言われている)。
しかしこのムエタイも今現地では資金繰りや集客に苦労しているという話を聞く。
今ムエタイは窮地に立たされている。というのもタイも一昔前に比べて急速に経済発展しているので、ムエタイで貧困から抜け出すというモチベーションが成立しづらくなっている。
それにムエタイというのはタイでは一種の公営ギャンブルのような意味合いもあって(日本の競馬や競艇に似ている)王室やタイ陸軍が運営しているが、このスポーツでのギャンブルの需要がタイでも急速に賭けサッカーに移行しつつある。
その上世代交代が上手くいかないというか、次世代の看板選手が出てこずムエタイのスタジアムは停滞し、興行の損益分岐点に達さないこともあるという。
一時期の日本の相撲も、伝統的な格闘技として存在しているが一方で「まわしもちょんまげもダサい」と揶揄された時期もあった(今の相撲ブームからは考えられないが)。
同様にラウェイもムエタイも、経済発展による国民の富裕層の増加や娯楽として飽きられたり、格闘技ビジネスが汚いビジネスということもあり色々な要素から少しずつ衰退しているのかもしれない。
筆者は格闘技に育てて貰った部分もあるから格闘技が衰退するのは寂しいが、日本の角界がそうだったように東南アジアの格闘技界も膿を出し切って再出発して貰いたい。