<①の続き>なぜサッカーの世界ではドラフト制度が機能しないのか?なぜKリーグはドラフト制度を廃止したのかを考えたい。

前にドラフト制度が成立する条件として「近隣にライバルとなるリーグがないこと」を挙げたが、Kリーグにはこのライバルとなるリーグが近くにあった。それがドラフトが機能しなかった理由である。

Kリーグのライバルといえばそれはいわずもがな「Jリーグ」である。

仮に韓国国内でKリーグ内のドラフト制度によって韓国のクラブが優先的な交渉権を獲得しても、獲得交渉を選手としていても選手側が「自分(選手側)の言い分が通らなければ、Jリーグや海外のチームでのプレーを考える」と言われてしまえば、韓国のクラブとしては強気の交渉はできない。その為交渉の土俵そのものが最初から選手の方が有利で、ある意味フラットではないアンフェアな環境なのだ。

しかし少し脱線するが今のスポーツ界もグローバル化やボーダーレス化は進行していて、日本のプロ野球でも2008年のドラフトの目玉だった田澤純一が日本のプロ野球を経由しないで直接MLBに入団したのは有名だし(その後NPBは日本球界を経由しないで海外に行った選手は2年日本球界に復帰できない[高卒は3年]とい時代錯誤なルールを作った)、Jリーグを経由しないで欧州に行った宮市亮もいる。ボーダーレス化やドラフト制度の形骸化はKリーグだけの問題ではない。

脱線した話を元に戻そう。こうして見たようにドラフト制度という仕組み自体が、そもそもそのリーグの強力なブランド力やマネタイズ(収益力)があることと近隣にライバルリーグがないこと前提で機能するシステムだ。

その為Kリーグのようなブランド力が弱いプロスポーツリーグではドラフト制度そのものが機能しないのである。

今回はサッカーとドラフト制度について、なぜサッカーにドラフトが馴染まないかを見た訳であるが、少し話したが日本のプロ野球もリーグ自体のブランド力がおちれば、Kリーグのようにドラフト制度が立ち行かなくなる可能性もある。スポーツビジネスとドラフト制度について関係者は考慮してもらいたい。