何のスポーツをするのでも必要なのは審判(ゴルフみたいに必要ないスポーツも例外としてあるが)。そうした審判のジャッジというのをどうやって自分たちに有利にさせるか?

アスリートとして長持ちする為には身体能力や技術といった要素の他に「審判の癖を見抜く」といった(サッカーのマリーシアではないが)経験値を高めることによって、競った試合で勝ちを拾うことも可能なのである。

筆者(独眼鉄)が愛読していた本に「捕手論」(織田淳太郎・光文社新書・2002年)という本がある。その名の通り野球の捕手について書かれた本なのであるが、この本の中にある「捕手と審判」という一節にプロの世界で生き残る捕手と淘汰される捕手の違いがある。

と言うよりキャッチングやリードといった捕手としての基本性能の他にも、審判(球審)の癖を見抜くことで自然と選手寿命が伸びたのである。

元ヤクルトの正捕手の大矢明彦は「富沢(宏哉)さんは打者の一巡目は厳しくとるけど、二巡目以降はストライクゾーンが広くなる傾向があった。だから投手に『今日は富沢さんだから序盤は我慢していこう』と言っていた」「三浦(真一郎)さんは極端にアウトコースが甘かったので、アウトコースを思いきって突く配球をしたし、打者には2ストライクまでいったらアウトコースは思いきって手を出すようにアドバイスした」とあった。

よく捕手は扇の要と比喩されることがあるが、賢い捕手(学歴がよくお勉強ができるという意味ではない)というのはその日組む投手の調子や性格もそうだが、こうした審判の癖も洞察することによって乱調気味の投手でも勝ちが拾えるのだ<②に続く>