では今回はサラリーキャップがどうやって算出されるか説明しよう。

この算出方法が少し複雑だが、そもそもサラリーキャップとは各球団が支配下選手に支払う年俸総額である。①まずリーグと各球団の総収入を算出。→②それに来年度の収入増加率を加算して「来年度の総収入」を概算する。→③その概算された総収入から各球団の数で割って「平均値」を算出。→④しかしこの③の数値はあくまでも平均値であってリーグのコミッショナーからくる配分以外の収入、すなわち球団のチケット収入や物販収入は各球団によってまちまちだ。→⑤その為収入が平均値より高い球団と低い球団が生まれる。→⑥しかし各球団の支配下選手の年俸総額は(当時のNBAで)60%で残りの40%が球団の収入になる。→⑦その為平均値より高い球団は選手にも高い年俸が払えて、低い球団はリーグから提示された最低年俸水準を守る義務が生まれる。→⑧その為に平均値より低い球団は選手の年俸を払う為に、選手は自分たちの雇い主(球団)の収入を上げる為に一蓮托生となってファンサービスに務めて、収入増加の努力をする。これが(長くなったが)サラリーキャップという仕組みである。

なお先に述べたがMLBではサラリーキャップというシステムは存在しない。代わりにMLBではある一定の年俸額を越えたら(マー君の時もそうだったと思うが)、「贅沢(ぜいたく)税」と言って高額な年俸を払った球団がリーグに一定の金額を納める仕組みになっている。

参考文献 スポーツと国力 巨人はなぜ勝てない 大坪正則 朝日新書 2007年