前回は大阪の世界陸上が東京のテレビ局の電鉄文化に対する軽視から来たものだということを述べたが、電鉄文化というのはそのままスポーツ文化というのは年輩の方ならよく分かるだろう。

というのも昔のプロ野球というのは、そっくりそのままさっき言ったような電鉄文化なのだ。

今のプロ野球で電鉄系球団なのは阪神と西武だけだが、昔は阪急や近鉄・南海といった関西の私鉄が競ってプロ野球球団を保有していた時期もあった(九州を入れれば西鉄もあるし、東京も国鉄が球団を持っていた)。

意外に思われるかもしれないが昔から球団を所有している唯一の在阪私鉄の阪神は線路の営業キロ数は48.9キロ(2009年・Wikipediaより)で古いプロ野球ファンから「阪神の線路は瀬古(昔のマラソン選手)でも走れる」と言われ、関西で一番線路の距離が長いのは実は近鉄なのだ。

しかし今の時代というのは私鉄企業にとってプロ野球球団の経営というのは、それほどうま味のあるビジネスではないのである。昔はプロ野球球団を所有することにより、沿線の住宅の入居や百貨店の集客に効果があったが、今の時代はプロ野球の影響も低下する一方で球団の維持費の高騰もあって球団所有のメリットも低下して、先の2球団以外は私鉄企業は球団を手放した経緯がある。

今の時代球団所有は私鉄企業からインターネット企業へと変化していったが、ビジネスモデルの変遷が球団所有の企業を変えるのでもある。