かなり前の話で恐縮だが2007年に日本のテレビ局が大阪で世界陸上を誘致して、入場料収入(興行面)とテレビ放映(視聴率)の両方を狙ったのだが、思いっきり大失敗したことがあった。

この時の世界陸上ではその誘致したテレビ局以外は、笛吹けど踊らずの状況で全然盛り上がらなかったのを記憶している。

この時に大阪のラジオ局でMCをしている年輩の男性が、大阪でスポーツイベントを成功させるのに重要な要素を教えてくれた。

「大阪の文化というのはいわば電鉄文化である。阪神はもちろん阪急・南海・近鉄といった私鉄沿線の住民の文化があるのだ。東京のテレビ局はそのことを理解せずに世界陸上のメインの陸上競技場をどこの私鉄の沿線にもせず、中心部の地下鉄駅の競技場にした。これをどこかの私鉄沿線の陸上競技場にすれば、その沿線の住民が世界陸上の競技を生観戦しようと思いチケットを買って見に来ようと考える。東京のテレビ局は大阪の文化をよく考えずにスポーツイベントをやろうとした。だから大失敗したんだ」と言っていた。

言われてみれば関西というのは首都圏に比べて、JRに対する私鉄沿線の線路が長いという。その分私鉄沿線の文化というのが(首都圏のそれに比べて)強いようだ。この時の世界陸上の失敗というのは大阪という都市のマーケティングの失敗でもあった。<②に続く>