<①からの続き>①では日本のサッカー界がどうやってホペイロという概念を定着させたかということを述べてきたが、では今のホペイロはどうなのかという話である。

スパイク1つとってもスパイクの紐を全部外し、丹念にブラシで汚れを落として、乾燥させてから磨きの作業へ。ナイターの試合後なら作業は深夜になり、乾燥中に寝袋で仮眠をとって早朝に磨きの作業を再開させるのである。

またあるチームのホペイロは洗濯担当で日本中のコインランドリーの場所を知っているという。なぜならそれを知っておかないと遠征中に大量の洗濯物を洗うことができなくなったら、チームは練習できなくなるしある意味商売あがったりになってしまうのである。だから日本中のコインランドリーの場所を「予習」してあるのである。

また少し脱線するが野球の用具係はどうかというと、BOSSのCMで有名になった元プロ野球選手で現・DeNAベイスターズの用具担当の入来祐作が著書で述べていたが「チーム練習2時間前にはグラウンド入りし、試合や練習で使う野球用具を管理し、ピッチングマシンや防護ネットの設置や練習で使うボールを用意し、また練習で使ったボールでも再度使えるモノとそうではないモノに分けて、使えるモノに関してはボールクリーナーにかけて綺麗にしておき、ユニフォームの洗濯物については業者と毎日のように対応し、試合中にユニフォームが破れたりベルトが切れたら修繕したりその都度対応…」と1日で仕事が終わるのか!!という量の仕事を毎日やってのけているのである。

こうして見るとサッカーでも野球でもホペイロという仕事があるから、我々ファンはスポーツ観戦を楽しめるのである。

参考文献 Dear KAZU 僕を育てた55通の手紙 三浦知良著 文藝春秋 2011年

用具係 入来祐作 ~僕には野球しかない~ 入来祐作著 2014年