さて2015年も気付けば半月を過ぎ世の中も本格的に始動しているが、昨年の大晦日の世界戦であった熱狂が忘れられない。

それはTBSで放映されていた大晦日スポーツ特番の枠の一部に入っていたボクシング世界Sバンタム級タイトルマッチで挑戦者天笠尚(山上)がキューバ人の絶対王者ギジェルモ・リゴンドーに挑む試合であった。

日本・東洋と順調に獲った天笠であったが相手があのリゴンドーとあって「どちらが勝つか?」というより「天笠が何ラウンド持つか?」といった焦点で注目が集まった試合であった。

そもそもこのリゴンドーという選手何が凄いのか?という話であるが、リゴンドーはボクシングでシドニー・アテネの二大会連続で金メダルを獲得した、伝統と歴史のあるキューバアマチュアボクシング界で三本の指に入る超一流のボクサーである。その実力はプロでも十分通用すると太鼓判を押されていた。

…しかし…

そうは簡単に問屋がおろさないのがボクシングの世界。これがアメリカやメキシコの選手だったらすぐにプロ転向していただろうが、リゴンドーはキューバの選手。周知の通りアメリカとキューバには国交がない。その為キューバ人がアメリカでプロ転向する為にはいわゆる亡命しかない。

亡命で思い出すのがキューバ球界である。野球WBCで日本代表とも対戦したキューバ代表のエース「Max170km/hの投手」チャップマンが大会後にアメリカに亡命してメジャーリーグでプレーしたように、リゴンドーも五輪後にアメリカへの亡命を企てた。

しかしリゴンドーは一回目の亡命には失敗し自宅に軟禁状態になってしまった。その後機を見て二度目の亡命に成功し、晴れてプロ転向に成功した。<後編に続く>