今月の筆者(独眼鉄)のブログで(ヒスパニックなど中南米の)国籍や民族問題について色々考えてきた訳だが、外国人の帰化問題というのは海を渡ったアメリカのような遠い外国だけの話ではない。むしろこれからの日本社会にとっても(プロアスリートという特殊な職業のみならず)普通に働く一般人も1人1人考えていかなくてはならない重要な問題である。
筆者はこれまでアスリートの帰化問題に対して繰り返し持論を述べてきた。先日もサッカー界でボスマン判決から欧州サッカーのグローバル化(すなわち均一化と没個性化)が急速に進んだという話をしたが、ボスマン判決などの影響で国籍と帰化の問題が浮上してきたのは欧州のみならず、南米やアジアでも同様である。
先日筆者はサッカー本で在日コリアンの鄭大世と李忠成の代表の話を記した本を読んだ。周知の通り鄭大世は北朝鮮代表に選出され2010年W杯南アフリカ大会に出場し、李忠成は日本に帰化して日本代表(五輪)に選出され反町康治監督の下で北京五輪に出場した。
筆者は韓国社会のことを高校生の頃から20年近く追い続けているが、筆者が在日コリアンの帰化問題の本を読むのは(帰化する当人にとっては家族を巻き込んだ大問題だから「面白い」と言ってはいけないが)、「帰化問題に正解はない」と考えているからである。
鄭大世の場合パスポートは韓国籍のものだが北朝鮮代表に選出される際に、北朝鮮は「朝鮮半島には1つの民族しかない」という見解で代表選出された経緯があるが、李忠成の日本代表もそうであるが、どっちが正しくてどっちが間違っているという問題ではないし、そもそも前述のように帰化問題に正解はないし、あったとしても学校の教師が答案用紙の前で赤ペンで○や×をつけるような正解の付け方ではないからである。
在日コリアンの帰化問題に対して一番避けなければならないのは「今の日本社会が不景気なのは全部韓国が悪いんだ」と韓国を日本の社会問題に対するスケープゴート(責任転嫁の対象)にして、思考停止させて先日のJリーグ浦和戦の浦和サポの「Japanese Only」という人種差別の横断幕を作るような愚行をすることである。
あの横断幕がきっかけで無観客試合になったが、東アジア情勢が緊迫する中で必要なのは、ヘイトスピーチではなく韓国社会や歴史を理解して、日本人1人1人が韓国に対して自論を持つことである。
話は少し脱線してしまったが李忠成の日本代表選出が既に行われて、前例が出来上がったことは日本社会において大きな波紋となったのである。このことはサッカー界という特殊な世界だけでなく、日本社会全体が生粋の日本人(いわば「日本系日本人」?)だけでは社会の維持は不可能になり、「韓国系日本人(在日コリアン)」や「中国系日本人」「インド系日本人」など様々な国や民族をルーツにした国民が増えるようになり(事実EU圏内はそうなっている)、グローバル化に対する鎖国状態は通用しない世の中になっていく時代である。
今回は在日コリアンに対する帰化問題を取り上げたが、アスリートの帰化についてはこれから来年(2015年)以降も考えていくテーマにしていきたい。
参考文献 日本代表・李忠成、北朝鮮代表・鄭大世 それでもこの道を選んだ 古田清悟+姜成明 2011年 光文社
筆者はこれまでアスリートの帰化問題に対して繰り返し持論を述べてきた。先日もサッカー界でボスマン判決から欧州サッカーのグローバル化(すなわち均一化と没個性化)が急速に進んだという話をしたが、ボスマン判決などの影響で国籍と帰化の問題が浮上してきたのは欧州のみならず、南米やアジアでも同様である。
先日筆者はサッカー本で在日コリアンの鄭大世と李忠成の代表の話を記した本を読んだ。周知の通り鄭大世は北朝鮮代表に選出され2010年W杯南アフリカ大会に出場し、李忠成は日本に帰化して日本代表(五輪)に選出され反町康治監督の下で北京五輪に出場した。
筆者は韓国社会のことを高校生の頃から20年近く追い続けているが、筆者が在日コリアンの帰化問題の本を読むのは(帰化する当人にとっては家族を巻き込んだ大問題だから「面白い」と言ってはいけないが)、「帰化問題に正解はない」と考えているからである。
鄭大世の場合パスポートは韓国籍のものだが北朝鮮代表に選出される際に、北朝鮮は「朝鮮半島には1つの民族しかない」という見解で代表選出された経緯があるが、李忠成の日本代表もそうであるが、どっちが正しくてどっちが間違っているという問題ではないし、そもそも前述のように帰化問題に正解はないし、あったとしても学校の教師が答案用紙の前で赤ペンで○や×をつけるような正解の付け方ではないからである。
在日コリアンの帰化問題に対して一番避けなければならないのは「今の日本社会が不景気なのは全部韓国が悪いんだ」と韓国を日本の社会問題に対するスケープゴート(責任転嫁の対象)にして、思考停止させて先日のJリーグ浦和戦の浦和サポの「Japanese Only」という人種差別の横断幕を作るような愚行をすることである。
あの横断幕がきっかけで無観客試合になったが、東アジア情勢が緊迫する中で必要なのは、ヘイトスピーチではなく韓国社会や歴史を理解して、日本人1人1人が韓国に対して自論を持つことである。
話は少し脱線してしまったが李忠成の日本代表選出が既に行われて、前例が出来上がったことは日本社会において大きな波紋となったのである。このことはサッカー界という特殊な世界だけでなく、日本社会全体が生粋の日本人(いわば「日本系日本人」?)だけでは社会の維持は不可能になり、「韓国系日本人(在日コリアン)」や「中国系日本人」「インド系日本人」など様々な国や民族をルーツにした国民が増えるようになり(事実EU圏内はそうなっている)、グローバル化に対する鎖国状態は通用しない世の中になっていく時代である。
今回は在日コリアンに対する帰化問題を取り上げたが、アスリートの帰化についてはこれから来年(2015年)以降も考えていくテーマにしていきたい。
参考文献 日本代表・李忠成、北朝鮮代表・鄭大世 それでもこの道を選んだ 古田清悟+姜成明 2011年 光文社